“ 地域で受け継がれてきた、
ブナの森 ”
ひと山丸ごと、ブナの森
夏は緑の枝葉が日差しを遮り、心地の良い風が林床を吹き抜けて、秋は黄金色の落ち葉の絨毯に。
かつては生活の燃料を得るための薪炭林であったブナ林は、戦後になり日々の暮らしで活用される機会こそ減ってしまいましたが、ここ田麦集落ではその後も市民のレクリエーションのための里山として大切に維持され、受け継がれてきました。
標高約300mの田麦集落は、地元の人々が「山居(さんきょ)」とよぶ小さな山と尾根(真ん中上の部分)を背後に、水田がゆるく南方向に拓かれており、その東側(山の南東/画像右側)に集落の家々が寄り添うように集まっています。
この山居の山の、黄色あるいはオレンジ色っぽく見える部分一帯が、ブナを基調とする広大な広葉樹林。部分的には緑の杉林もあるものの、ほぼほぼひと山丸ごとブナの森といっても良いくらいですね。
ちょっと森の中にも入ってみましょう。
森に入ると、空気は一変。森の外とくらべると気温も湿度もすこし下がって、そよ風に揺れるブナの木々の囁きに包まれたような感覚になります。
木々の世代交代は自然に任されているため、樹齢はおおよそ50年から150年くらいと思われるものが多く、足下には落ち葉の隙間から出てきた実生も多く見られます。か細くて小さくとも、ちゃんとブナの葉のカタチをしているのが可愛いです♪
ぶなの森園内を巡る散策路
“ひと山丸ごとブナの森” の山居の山ですが、現在はそのうちの約90haが「田麦ぶなの森園」として上越市によって管理されています。地元の人のなかには単に「森林公園」と呼ぶ人も。園の設置自体は旧大島村のころで、当時は村民のレクリエーションやオリエンテーリング競技のための施設として整備され、園内を巡る遊歩道やトイレ、また炊事棟付きのキャンプ場も設けられたそうです。(現在はキャンプ場は閉鎖され、炊事棟も無くなっています)
キャンプこそ出来ませんが、園内のブナ林の中を散策することは現在でも可能ですので、歩いてみたいという方は是非うしだ屋にお立ち寄りの上、マップをゲットしてみてください。遊歩道の草刈り管理などは年に数回、地元有志が請け負って行っていますが、場所によっては通行不可や通行しにくくなっている箇所もあります。マップ受け取り時に、おすすめの道順などについて、お気軽にご相談ください♪
年一回の祭典 “旭新緑祭”
四季折々美しい姿をみせるブナの森ですが、ここが一年でもっとも賑わうのが、例年GW連休中の5月4日。毎年この日程で、「あさひ季節を楽しむ会」主催の “旭新緑祭” が開催されます。
当日は、新緑のぶなの森園散策班と山菜採り班に分かれて(いつも山菜班が大人気で、例年散策1班と山菜2班)春の里山を楽しんでもらい、その後は青空の下 “焼肉と山菜の天ぷら” の大宴会。2020年は新型コロナの影響で開催されませんでしたが、例年百名ちかい参加者を集め、夏の盆踊り、秋の収穫祭とならぶ地域の一大イベントです。
ブナの森を未来に引き継ぐために
いままでは市からの作業委託を受けて、地元有志が遊歩道の草刈りやトイレ棟の雪囲いといった管理作業を行ってきた田麦ぶなの森園ですが、地域住民の高齢化により次第にそれも難しくなってきました。
そのため、これまで行われてきた管理作業の引継ぎや、この素晴らしい里山資源のより有効な活用方法を検討する目的で、2020年春、周辺地域の事業者が中心となり「里山イノベーション研究会」という有志団体が結成されました。ブナ林の維持管理を引き継ぎつつこの自然の美しさを楽しんで、この場所がもつ可能性をもっともっと引き出したい、という物好き市民の集まりです。
ご興味のある方は、是非会のウェブサイトも覗いて行ってみて下さい。
『里山イノベーション研究会』website
https://satoyama-innovation.jp
『田麦ぶなの森園』
住 所 | 新潟県上越市大島区田麦 |
期 間 | 通 年 |
駐車場 | 複数台 ×2か所 |
設 備 | トイレ(冬季閉鎖)×2か所、遊歩道(春~秋) |
備 考 | うしだ屋にて散策路マップの配布をしています。時期・ルートによっては歩きにくい箇所もありますので、散策希望の方はご相談ください。 |